1、神風号に関する文献と資料
文献名 出版社・出版年度 文献についてのコメント
「日本の航空ルネッサンス」  別冊航空情報 2000年4月P.187-190 三菱キ15「神風」図解説/折込カラー塗装図「神風」(1971年6月号の改訂版)が掲載されている。
「最速の系譜」  神谷直彦 Scale Aviation 2004年 4月P.38-39 すべて2次資料だが、イラストがきれいである。
日本航空史100選シリーズ1  大日本絵画 2004年9月 P.65-77  P.66にキ-15の組立三面図が掲載されている。
月刊「航空ファン」
特集「神風号とニッポン号」
2007年8月号P.45-57 右側面の写真が参考になった。 
「精密図面を読む3 第2次大戦の攻撃機/偵察機」
 松葉稔著 
1995年5月酣燈社 97式司令部偵察機の図面がある
「朝日新聞社訪欧機神風」 山崎明夫著  2005年5月 三樹書房
神風号の青について茄子紺とANAのトリトンブルーさらにインクブルーなどが近似色ではないかという記述がある。この本のカバーの色であるブルーとの関係も興味深い。
モデルアート12月号臨時増刊
「新聞報道通信機編」
1993年 モデルアート社 P.65 神風号の機体のロゴやマークの配置を記す三面図が掲載されている。
航空情報臨時増刊日本本傑作機物語
  河野文彦・水野正吉
1956年4月P.70-79 神風号が欧州を訪問した直後に発行された「THE AIROPLANE」誌と「FLIGHT」誌の関連記事の翻訳が掲載されている。帰途ベルリンを訪問した際に、ドイツの技術者が述べた所見は「この貧弱な装備で、よくも長距離飛行を遂行し得たものだ。」であった。これに対して著者は「これは日本航空界の真実の姿を看破した至言として心に深くとめ、…」と真摯に受け止めている。
朝日グラフ臨時増刊 1937年10月P.22-23 神風号の左尾翼部の鮮明な写真がある。ここにはMITSUBISHIのロゴがはっきり写っている。
THE AIROPLANE  1937年4月14日P.439 操縦席内部のスケッチが掲載されている。計器パネルも丁寧に描かれている。
FLIGHT
1937年4月15日P.374 前・後部座席内のスケッチが掲載されている
5−2、神風号の機体マークやロゴ
朝日新聞社の社章(朝日の旗マーク)
 神風号を作る際に技術的にクリアーしなければいけない問題が幾つかあった。朝日の旗マークもその1つであった。そこで自作でカールを指向してアスプス電気の熱転写プリンターの存在を知った。価格が5万円以上なので購入に迷っていたところ、生産中止になると聞いて、あわてて購入した。
さらに画像処理ソフトにADOBE ILLUSTRATORがあることを知ったが個人ユースでは高価すぎるので、先ず画像処理ソフトの参考書を読んだが、よく理解できなかった。その後たまたま大学院に社会人入学をした機会を利用してADOBE ILLUSTRATOR CS4の学生版(43000円)を購入する事ができた。参考書と首っ引きで神風号の機体から朝日マークをイラストレーターでトレースを4〜5回作り直してやっと印刷原稿を完成させた。印刷にはMDプリンターのページ合成機能を使い、版画の重ね刷りのように特色ホワイト3回・光沢仕上げ3回・マゼンダ2回・イエロー2回の合計10回合成した。ページ合成を10回しても肉眼では印刷ズレは見られなかった。デカール特有の白の発色の悪さは感じられない仕上がりとなった。特色ホワイトは最低でも2回は重ね刷りをしたほうが良い。3回重ね刷りすれば、ほぼ満足できる状態で刷り上がる。重ね刷りする場合、光沢仕上げで処理をするとデカール紙との密着を増すことができ、重ね刷りで起こりやすい剥がれを防ぐことができる。
.

朝日新聞社訪欧機1/24「神風号」製作後記

1/24神風号(97式司令部偵察機)のソリッドモデル(スクラッチモデル)製作を終えて、自分へのメモを残しておく必要を感じたので製作後記を残す事にした。これから神風号を作る方がいるとしたら、何かのお役に立てるのでなないかというかすかな期待も交えて思いついたことを記す。

4、神風号のエンジン

神風号に搭載されたエンジン名称は94式550hp(ハ-80・寿V型)空冷星型9気筒で外径は1.388mである。96式2号艦上戦闘機に搭載されたものとほぼ同じと考えてよいと思う。寿U型の写真や図面が軍用機メカ.シリーズ16「九六艦戦/零観」のP.40-41に掲載されてる。また排気管についてはP.44のキ-11に搭載された写真がある。カウリングが装着されると外からは排気口しか見えないのでとても役立った。

3、神風号のプラモデル


神風号のプラモはマルサンの1/50。私が中学生のときにマルサンの97式司令部偵察機1/50を組み立てた事があった。モールドは淡いブルーグレーであったような記憶があるが、定かではない。当時はまだピラーのような原色塗料しかなく、色を塗らずに完成させた。
このマルサンの製品がアメリカのUPCというメーカーで販売されていた。このUPCの「神風号」が手元にあるが、モールドは銀色で、全体から受ける印象は実機とやや異なる。1/72ではマニア→LS→長谷川とメーカー流浪の「神風号」がある。現在でも市場で買える。

1.神風号に関する文献と資料 2.神風号の展示用模型
3、神風号のプラモデル 4、神風号のエンジン
5-1神風号の色 5-2神風号の機体マークやロゴ
6製作過程においての反省点や気がついた事など
2、神風号の展示用模型
神風号の実機が存在しないので、全国の博物館などに展示されている模型が参考になるのではないかと考え、出張した際やアマチュアモデラーの作品展を見学に出かけたときに次のような模型を見た。

6、神風号製作の製作過程における反省点や気がついた事など

製作するアイテムの決定について 当然だが,まず何を作るか?から始まる。自分が作りたい機体を作ればよいのだが、自分の技術レベルによる制約に思いを致す必要がある。このバランスが崩れると途中で作業を放棄する事になる。実際に私の知っているソリッドモデラーで所謂未完成病を患っている人が複数存在する。
私の神風号が完成まで7年もかかったのはこのバランスを考慮していなかった結果である。以下反省点である。
(1)製作前にどこまで作りこむのか自分の技術レベルと相談して決めておく。プラモデルのWWU単発戦闘機でも1/24となればどの程度のものになるのかはバンダイの1/24零戦や紫電改、エアフィックス1/24のBf109やスピットファイヤーをみれば見当がつく。プラモデルと同等の完成度を求めるのであれば当然ハードルは高くなるし、完成は遠のく。
(2)できるだけ思いいれのある機体を選ぶ。
「好きこそものの上手なれ」というように、好きであることが大切である。好きな機体はできる限り資料を集める必要がある。日ごろから周りの仲間に自分の作る機体の宣伝をしておくと、思いがけなく良い情報をもらえることがある。例によって機体が完成した後から良い資料がでてきてガッカリすることもある。
今回も仲間から操縦席の貴重な資料の提供をうけた。一方、完成後に尾翼付近の鮮明な写真が出てきてガッカリした。
図面を見ながら先ず考えておく事、 (1)どこまで精密に作るかを決定する
正確な図面を購入するか、自作すること。次に、図面や写真からエンジン、コクピット内や動翼などをどこまで精密に作るかを最初から決めておく。
(2)可動部分をどのように処理するのか
、補助翼やフラップや風防など可動を図面の段階から考えておく。製作途中に思いつきで風防を可動にしようとすると時間が余分にかかるだけでなく、仕上がりも汚くなることが多い。自分の技術レベルと相談する必要がある。私のような初心者は可動はできるだけ避けるのが賢い選択。
(3)主翼と胴体、尾翼と胴体、コクピットなどは設計図の段階で木取り(材料である木材から必要な部材ごとに切り出す作業)まで考えておく。
反省:垂直尾翼と胴体の取り付けをあまり考えていなかったので、取り付ける際に胴体に対して垂直を出すのに苦労した。悩んでいると、妻から「糸に錘をつけて垂直線の基準にしてはどうか」と言われ、その通りやってみて成功した。人様から知恵を拝借することの大切さを知った。
木材を切る、削る、穴をあける、磨くなどの加工技術について
(1)切る
胴体・主翼などの部材を切り出しに鋸をつかった。鋸を上手に使えないので切り口が汚いうえに寸法が不正確になった。木材を正確に加工する難しさを思い知った。丸鋸盤・帯鋸・電動カンナ盤などを使える業者に加工を依頼している人もいる。出費を覚悟してブロクソンの帯鋸盤などを購入するか悩むところである。

(2)削る
・素人がカンナをかけて相接する2面を整形しても、なかなか直角がでない。3面を合わせるのはほぼ不可能に近い。「素材は木工所などに依頼して加工してもらうのがよい。少々高くついても素材を使って1年ぐらい楽しくソリッドを作れるのだから安いものだ。」とTSMCの故K氏が言っていたのを思い出す。聞くべきは先達の言である。

・翼は正面から見ると翼端から胴体の付け根までほぼ直線的に翼厚が変化するのだが、よほど注意して加工しても中央が盛り上がるカマボコ型になる。曲尺をこまめにあてて注意しながら削るのが基本。 広い面積を削る場合はカンナより幅の広いノミを使ったほうがよい場合がある。

・翼の前縁は丸くカーブしているのだが、どうして鋭角になっててしまう。プラモデルを見慣れているためか、WW2の機体でも翼の前縁が鋭角であることに不感症になっているようだ。WW2後期の機体を除き、前縁は丸くなっているのが一般的である。

・翼の後端は直線を引いたように薄く真っ直ぐでなければいけないのだが、太く、波うつような線になってしまう。木取りの際に鉛筆で引いた後縁の直線の上下からカンナや平のみで少づつ削り込んで薄くしていった。これ以外に木取りの段階で薄いアルミ板を後縁部に臍を切ってはめ込み整形する人もいる。

(3)穴をあける
 穴あけは部材にたいして正確に垂直であることが必要である。ハンドドリルなどでは無理なので、仕方なくボール盤を購入した。効果は抜群である。厚い板材の切断にも使える。問題は重くて場所を占拠することである。
(4)磨く
 主として木工やすり、各種DRESSER、サンドペーパーを用いた。木工ヤスリやガラスの破片で削るようにして磨く人もいるそうである。サンドペーパーはKOVAXが飛びぬけてすぐれている。一度使ってみると他との差がハッキリする。DRESSERは以前SANDVIK(スウェーデン)が大型(30センチ長)のものを発売していたが、現在は入手はできないようだ。
木材以外のマテリアル 木材は一般的な朴木を使う。その他、風防に塩化ビニール、フラップや胴体のストリンガー、スピンナーなどプラ材を使用。主翼と補助翼の部分にいアルミ(0.3ミリ厚)を使った。車輪はとエンジンシリンダー部はキャスト、アンテナ支柱は真鍮線を加工した。主脚スパッツの段差部分は真鍮板を巻き付けて表現した。操縦席内部の送受信機とエンジン部のエキゾースト排気口はケミカルウッドを使用した。ケミカルウッドは木材より加工が簡単なので小さなパーツを作るのに適している。ただし木材と同様に表面が荒いので、瞬着やプライマーなどで目止めをする必要がある。
接着方法について
ソリッドモデルでは主として木材・金属・塩化ビニール・プラスチックなどが接着の対象となる。以下は接着する組み合わせで考察してみた。
(1)木材+木材
 木工ボンドが使いやすいし接着力も強い。コニシとアルテコの両者を使った。コニシは黄色の容器、アルテコは白の容器に入っているので見分けやすい。コニシは古くからある。還暦を過ぎた私が子供の頃から使っている。コニシは乾燥にやや多くの時間が必要である。
 今回はエポキシ接着剤を多用した。接着力も強く経年変化にも強いことが特徴である。硬化時間も5分タイプから90分タイプまである。硬化時間が長いほうが硬化後の硬度は高いように感じる。硬化後の硬度が一番高いものはアラルダイト(12時間で硬化)だと思う。硬化後はアルミと同等の強度があるそうだ。
 瞬間接着剤も木材用と低粘度タイプを使用した。低粘度タイプは木材部品の表面処理や翼端などの強度を上げるために使った。低粘度タイプは木の繊維に浸み込んでから固まるのでサフエサーの働きを補助することができる。

(2)木材+金属板
普通の瞬間接着剤と黒い瞬間接着剤を使用した。主翼と補助翼の僅かな段差を表現するため主翼側後端に0.2ミリのアルミ板を貼った。接着には黒い瞬間接着剤を使用した。

(3)木材+プラスチック
 ボンドG17または瞬着を使った。セメダインスーパーも可であるが、乾燥しても接着面は弾力が残る。大面積はボンドG17を使い、小面積は瞬着が適切だと思う。

(4)木材+エンビ板
エンビ板は風防に使う。風防として整形したエンビ板を胴体に接着する際に今回はまずキャノピーボンドにタミヤ接着剤(流し込みタイプ)を加えて流動性を加えて胴体と風防の隙間に流しこむようにして接着した。風防は胴体とのすり合わせを慎重にやったが、段差が残ったので、ポリパテの「スベスベ」を盛ってからペーパーで仕上げた。

(5)真鍮+真鍮
やはり半田付けが一番確実である。瞬着やエポキシでも接着可能である。

(6)将来の課題
風防を絞るために今回は塩ビ版を使用した。理由は@手に入りやすい。A価格が手ごろである。B先人のソリッドモデラーたちの技術的蓄積がある。
しかし最近では透明アクリル板を使う人が多くなった。利点は熱加工した後にペーパーがけができることである。ペーパーがけしてから、コンパウンドなどで磨けば、透明さを取り戻せるという点である。私は今回はパスした。なぜならアクリル板は40センチ×50センチ(0.3ミリ)が1枚3000円以上する。塩ビ版でヒートプレスを失敗したように、アクリル板を使えば、たちまち1か月分の小遣いが消滅する。また手に入りにくいのも欠点である。しかし、先輩諸氏の透き通るような(透明だから当然か?)キャノピーを見ると、ムラムラと変なヤル気がでてくるのである。
木地の処理と下塗り 朴の木は他の木材に比べて木目が比較的目立たないが、やはり木材にはかわりないので、滑らかな塗装面を得ようとすると、下地の処理が欠かせない。先輩たちはクリアーを数回塗装して目止めをし、ペーパーで磨き上げている。最近では瞬間接着剤のサラサラタイプを表面に浸み込ませてペパーで磨く人もいる。私は大きな面積であればクリアーの下地にサフエサーを重ねたほうがサフエサーの食いつきがよいと感じた。主翼サフエサー面に筋彫りをしてルーラーでリベットを打った際に、瞬着を下地とした部分でサフエサーの剥離が見られた。次回の作品では瞬着の下地の上にはクリアーを重ね塗りするつもりである。
筋彫り・リベット打ちについて
筋彫りに使う道具はカッター・木綿針・レコード針・錐の先・コンパスの針など様々である。先輩に伺うと1/72〜1/48はカッターを使っている人が多い。仕上がりがスッキリしていて作風に緊張感がでる。1/32以上では針のような道具が適当な幅の筋を彫れる。
(1)外板のつなぎ目
パネルライン

何が一番良いかであるが、これは下地のサフエサーの種類(クレオスのプラモ用サフエサー/カンペのラッカーうすめ液を溶剤とするサフエサー)やサフエサーの塗り重ねた厚さや乾燥度合いなどによって異なると思う。
また外板の継ぎ目とパネルラインでは道具を変える場合もある。今回はコンパスの針を使った。1/24程度であればちょうどよい太さである。
(2)リベット打ち
道具は古くは謄写版用の点線を切るためのルーラー、新しくは北風舎や長谷川のリベットルーラーがある。神風号には謄写版用のルーラーと長谷川のものを使用した。謄写版用のものは長谷川のものに比べてピッチ幅がやや広い。このため場所によって使い分けして、メリハリをつける効果を狙った。
さらに大型のビス類を表現するためナナコと呼ばれるタガネを使った。
ルーラーでリベットを打つのには集中力と慣れが必要である。ルーラーガイドには、プラモデル製作でもおなじみのDYMOテープを使った。これは曲面にも貼り付いて固定されるので作業に両手を使えるのが有り難い。今回使用したのは黄色であった。クリアーのDYMOテープは便利だか材質が柔らかすぎて使いにくい。
塗装について
塗装は木部の下地処理を終えた後にクレオスのグレイサフエサー1000を吹いて、1200番ペーパーで仕上げてからクレオス8番の銀を吹いて、その上に青を吹き重ねるた。カウリング部はサフェサーの上に青を吹いた。機体部分は銀の上に青を吹いた。両者の発色に若干違いがでた。クレスの青は隠蔽力が弱い事を事前に考慮すべきだった。
機体の文字やロゴマークについて (1)筆塗りにする
(2)マスキングををして吹き付け塗装をする
(3)色デカールや紙などを切り貼りする
(4)デカールを自作する

など方法がある。すべて実験してみた。(1)は書道が苦手な私には無理。(2)は大きめの機体番号などはうまくいく。(3)もMODELRE'Sのカラーデカールを使い比較的大きな数字やアルファベットの文字は効果がある。特に白や赤は塗装よりくっきりした仕上がりを見せる。しかし図形やマークは難しい。図形やマークは(4)のパソコンで原稿を作りデカールにする方法が素人でも可能だと考えた。

私にとってソリッドモデルの一番の難関は機体に記入する文字やマーク類である。ソリッドモデル界の先人は、筆やカラス口(製図用具)を上手に使える人が多く、またこの方法で記入されたものは経年変化にもよく耐えるといわれている。マークや文字類の処理は完成した機体の良し悪しを左右するので、とても重要な工程である。
先輩の神風号の作品を見て、筆での手書きやマスキングでは一定の限界があると感じた。ソリッドモデラーの中にはデカール使用を許容しない方もいる。しかし、素人が赤い地の色に白で5ミリ四方に「朝」の字をスッキリと描くのは不可能と考えた。そこで私は筆を使うような旧来の方法はあきらめて、プラモデル作りで慣れているデカールを使う事にした。デカールが自作できればプラモデル作りを含めて模型作りがもっと楽しくなるだろうと考え、今回、神風号を製作するにあたってアルプス電気の熱転写プリンターM-5500を購入することした。
さらに朝日マークのプリンター出力用原稿を作成するにのに lllustratorを購入した。朝日新聞社の社章デカールを作るのに説明書を読みながら約3ヶ月程度を要した。機体の一部の漢字やアルファベットはパソコン内臓のフォントをそのまま使った、機体や主翼のアルファベットはlllustratorで作った。

反省点@:主翼のアルファベットはデカールで処理したが、時間が許すのであれば、マスキングに吹きつけ塗装で処理するべきだった。デカールでは面積が大きくなると気泡が入り易い、このため経年変化で剥離する恐れがある。デカールの上からクリアーを軽く吹いてあるが心配は残る。デカール処理は経年変化と剥離という難点を除けば、仕上がりがスッキリとしていて美しい。
 
反省点A:ブラックインクでデカールを印刷して、クレオスのクリアーをスプレーしたところ黒インクの部分のみクリアーを強烈にはじいて、クリアー塗料が細かい水滴状に分離してしまう現象が生じた。主翼のアルファベット文字は黒インクで印刷された面積が広いため完全にクリアー塗料をはじいてしまった。幸いにも機体に貼る前にデカールのインク面を守るためにクリアーを吹いたので事前に発見できた。この対処方法としてMD-5500の印刷設定の際にモノクロ原稿でなく自動を選択して、三色合成による黒で印刷した。この結果、症状は大幅に改善された。 しかし、三色合成の黒はやや茶色がかった仕上がりになるのが難点である。

反省点B:尾翼の下にローマ字で「MITSUBISHI」のロゴがあるが、私は「MITUBISHI」とデカール印刷して貼り付けた。神風号初デビューの展示会でお客様から指摘されて写真で確認したら、ご指摘をいただいたとおりであった。さっそくデカールを刷り直して修正した。おかげさまで次の展示の際には恥をかかずに済んだ。人様からのご意見は本当に有難いものです。                                
.
旧神田交通博物館(現在はすでに閉館) 1/15?風防は透明部品ではなく、塗装によって表現されている。尾翼の付け根付近の表現が不自然な感じを受ける。
小牧空港(現在の名古屋空港)の名機100選 ガラスケースの中央付近に展示されているので近くから見ることが出来なかった。風防は開いた状態になっている。ケースの上から覗き込と後部座席の後方に酸素ボンベらしきものがある。胴体と垂直尾翼との接合部分が写真とちがう感じをうける。
岐阜の航空宇宙博物館 1/16?美しく仕上げられた大型模型である。風防は閉まった状態。本来スピンナーから機首そして胴体へと紡錘形にラインが連続しているのだか、この模型は正面から見るとエンジン後方が平面になっていて、機体と同色のブルーに塗装してあり、不自然である。
横浜の「みなと未来21の三菱館」 1/25か?写真などから受ける印象に一番近い模型だと言える。仕上げの丁寧さは4点の模型中で最高水準である。垂直尾翼と胴体の接合部分も一番説得力のある形状をしている。機体の紺色はやや明るいめ紺色である。
5、神風号の塗装とロゴ

5−1、神風号の色
銀色のドープ仕上げとブルーの塗りわけ。朝日新聞社と三菱のマークは赤。機体番号とその他の文字は黒である。
問題はブルーである。マルサンの神風号の箱絵は濃紺であった。このため私は長い間紺色というイメージで捉えていた。ところが航空情報1971年6月号の折込図(渡部利久)では明るいブルーで表現されてた。これは私にとって、ちょっとしたカルチャーショックだった。白黒写真では、このブルーの部分が黒く写っていたり、薄いグレーに写っていたりする。全国各地の博物館の神風号展示模型もスカイブルーから紺色まで千差万別である。
 神風号に関わる当時のポスター数点が「朝日新聞社訪欧機神風」(三樹書房)にカラーで掲載されているが、何れも紺色に近いものであった。またこの本の記述に茄子紺・インクブルーなどが比較的近い色ではないかという提言がある。以上の2点と私のマルサンの1/50神風号の箱絵のブルーが好きということから青の色を決定した。